第1戦 | 第2戦 | 第3戦 | 第4戦 | 年間 ランキング (PDF) |
戻る |
リザルト(PDF) / ヨシキ&P2カップ リザルト(PDF)
* B-Session2007の開幕戦は、船橋ロッキーの“お正月コンペ”グレゴリー&メスカリートカップとなった。また、前日の2日にはビギナーから楽しめるヨシキ&P2カップも開催されている。
* 昨年に引き続き、常識破りというか発想の大転換というか、正月三が日のコンペという大胆な企画であるが、ヨシキ&P2カップは定員一杯の60名、グレゴリー&メスカリートカップは男子26名、女子9名が参加した。暮れにはジャパンカップがあり、年末年始の10日ほどの内に続けて2回のコンペは、選手としてはきついのではないかと思われたが、ほぼ昨年なみの参加者数となった。
* 昨年も書いたように思うが、会場の広さを考えると現実問題としてあまり大人数の大会はきつい。女子はもう少し出て欲しいが、男女合わせて40〜50名が限界という気はする。またこの程度の規模の会場で、この程度の参加者で行うコンペというのも、アトホームな感じで良いと思うがいかがだろうか。ともあれロッキーに限らず、限られた会場面積を様々な工夫でカバーして大会を開催する各ジムの心意気には、ただ敬服するばかりだ。
* さてこの大会の特徴は、アメリカのボルダリングコンペの“センドフェスト”方式を採っているところにある。選手の流れはUIAA予選と同じ「ベルトコンベアー」だが、採点は各ホールドにポイントが設定され、各課題で保持した最高点ホールドのポイントを合計するシステムである。リードのそれに近い考え方だが、プラス/マイナスは無く保持のみが評価され、一撃のみボーナス的にポイントの上乗せがある。
* 昨年は全てがセンドフェストだったが、今年は予選がセンドフェスト、決勝がUIAAの決勝にノースフェースカップで行っているようなサドンデスを組み合わせたもの(2008年から導入される国体のボルダリングの決勝も、これに近い)。さらにスーパーファイナルは、またセンドフェストと、色々なシステムの混合という実験的なものになっている。ちなみに今回の「スーパーファイナル」というのは、普通に言うスーパーファイナルとは異なる。予定されたもので、野球のプレイオフに近い。
* センドフェストのメリットは、UIAAはボーナスポイントと完登以外は評価されないのに対して、ホールド単位で細かく評価される点だ。選手は一手でも先に進めば得点を稼げるので、完登できずとも最後の最後まで粘ることに意味が出てくる。
* また、セッターの負担も少ない。UIAAではボーナスポイントの設定を誤ると、うまく選手がばらけない。課題の難度のさじ加減とともに、セッターが苦労するのがボーナスポイントなのである。セオリーとしては、トータルで大ざっぱに1/3が完登、1/3がボーナス保持と言うことが言われ、ボーナスを保持したら後は楽勝、あるいはボーナスは楽勝だがその先でつまづくというのは設定としては好ましくない。
* 今回の男子決勝の2課題目が、後者の良い例だったのだが、設定されていたボーナスには全員が最初のアテンプトで到達。そのため、カウントバックで順位をつける形になった。しかしその次の一手を保持した選手は少なく、もしボーナスがそのホールドだったらカウントバックによらずに順位が分かれていたはずで、選手にも観客にもすっきりした決着に感じられたと思う。ともあれ、こうして一つの大会の中で各方式を比べてみると、それぞれのシステムのメリット/デメリットが見えてきて面白い。
* リザルトだが、男女とも優勝は本命、松島暁人と野口啓代。松島は調整も何もしていないと言いながら、大差をつけての予選通過。決勝では1課題目こそ完登を逃すが、残り2課題は一撃。スーパーファイナルもあっさりと決め、余裕の優勝。野口も風邪気味という話だが、安定感のある登りで全ラウンドの課題を一撃で優勝。
* 2位は男子が岩橋由洋、女子は尾川智子。ジャパンカップでも滋賀の村岡達哉が優勝したが、岩橋も新潟。地方在住の強力な若手が確実に育っていることを実感させられた。3位は久々の登場で宮保雄一。女子は八戸昭子。こちらも懐かしい。かつてジャパンツアーの上位常連だった選手だ。
* さてこの「お正月コンペ」、最後の挨拶でロッキー代表の田村氏は来年も開くと宣言した。大会を支えるスタッフも、やる気十分だ。今年は出られなかった皆さん、来年こそは正月を船橋で!!