在庫僅少
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〜ネイプス・ニードルと湖水地方のボルダリング
[文と写真:互井健悟]
続・トポの行方
[文と写真:榎戸雄一]
裏六甲・不動岩、烏帽子岩調査報告
[文:室井登喜男 写真:井上大助]
2010年度下半期 コンペレポート [文:伊東秀和 写真:安間佐千]
freefan63号の編集作業がほぼ終了し、印刷に入る直前であった3月11日に未曾有の災害である東日本大震災が発生しました。一日も早い被災地の復興と、被災された皆様に謹んでお見舞い申し上げます。また、この事態を受けて、freefan63号は急遽、発行の延期を決め、事態の推移を見守ってきました。発行時期が遅くなり、会員の皆様にご迷惑をお掛けしたことをお詫びいたします。
63号の巻頭では「日本の岩場を斬る」の連載として、災害のあった福島県福島市の大日岩を取り上げています。日本フリークライミング協会(以下JFA)およびfreefan編集部では、発行を延期すると共に、取材にご協力いただいた地元クライマーの方々の安否確認を行い、幸いにも全員の無事を確認しました。発行するにあたっては、取材にご協力いただいた長谷川夫妻および大日岩のローカルクライマー、宮城在住のJFA理事との協議を行なっております。
編集部では、災害以降「日本の岩場を斬る」の掲載を見合わせることも含めて、様々な検討を重ねてまいりました。現地の取材および誌面の編集が震災以前であったとは言え、こうした状況の中で、岩場の紹介記事を取り上げることについては、被災地の状況、被災者の感情、社会の情勢、岩場の安全、情報の伝達等々を考慮し、慎重な判断を必要としました。
その上で今回掲載に踏み切ったのは、今後の長い復興の中で、微力ではあっても支援につながるのではないかと判断したためです。今は岩場の利用は控えるべき状況かもしれませんが、状況が落ち着けば積極的に出かけて、宿に泊まったり、食事をしたり、土産物や特産品などを買ったりといった地元経済への還元を通じて、僅かながらも復興の一端を担うことができます。また、様々なクライマーが訪れて交流を深めることは、東北のクライミング界の活力にもなります。そのために、本誌での福島・大日岩の紹介記事が、全国のクライマーの方々に、いずれは行ってみたくなるような魅力を伝えられたら幸いです。また、地元クライマーからは、楽しみにしていたので、元気づける意味でも自分たちのローカルエリアの載ったfreefanが手元に届くのは嬉しい、とのご意見もいただきました。
「日本の岩場を斬る」の本文で筆者が語っているように、地元のクライマーの方々はfreefanの取材を暖かく迎え入れ、大日岩の魅力を伝えてくれました。そこで生まれたクライマー同士のつながりが途絶えることのないように本誌に留め、時が経って大日岩および東北の各エリアと地元のクライマーが、かつてのような平穏で魅力あふれる日々を取り戻すことを切に願います。また、状況が落ち着けば、安全確認やリボルトなどの環境整備、あるいはボランティアやチャリティといった活動も視野に入れ、JFAおよびfreefanとしてできる範囲での支援を行いたいと思います。
freefan編集長 室井登喜男