INTERNATIONAL CLIMBING COMPETITION Rules2010 主要変更点
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* IFSCルールの2010年版が発表された。英語版のPDFはIFSCのサイトからダウンロード可能。ここでは同時に発表された主要変更点(“Major changes in the 2010 Rules”)をもとに、リード、ボルダリングそれぞれの変更点を簡単に紹介する。日本語版はダウンロードページからダウンロード可能。
リード
- 予選がフラッシュの場合、デモンストレーションのビデオは、ウォームアップエリアで常時流し続ける。
――従来はフォアランナーが登るのを選手の直接見ると言う形だったが、“ライブ”ではなくなった。これは特に競技順の早い選手への配慮と思われる。
- 男子ルートのデモは男性が、女子ルートのデモは女性がおこなう。
- フラッシュでも40秒の最終オブザベーションを認める。
これは従来は特に規定はなく、すぐ登るものだと理解されていたが、登り始めるまでのそれなりのタイムラグも生じるので認めるようになったのだろう。
- ユース大会以外ではスーパーファイナルは廃止する(ユース選手権、ユースシリー
ズではおこなう)。
――スーパーファイナルはやらずにどうするか、は具体的には書いていないが、両者同着1位とする以外に方法はないだろう。
- 従来からビレイヤーの注意事項として「ダイナミックビレイを行え」と言うことはあったが、グリグリに代表される機械的にロープをロックするビレイデバイスの禁止が明言された。
- 予選が2グループに分かれ、それぞれが別々のルートを登る場合は、予選へのカウントバックはおこなわない。
――昔に戻った形。ただ、リードではこの形式は実際にはまず行われない。ボルダーのワールドカップではこの形式があるようだ。
- クリップする際のレジティメイト・ポジション=この範囲内なら、そこからクライムダウンしてクリップしてよい範囲が変わった。
まず「身体の全てがルートのライン上にクイックドローの下側のカラビナを越えない限り」、と言うのは従来通り。そして加えて、従来は「戻らずにクリップできるところまで」という形だったものが、「身体のいずれかの部位でクイックドローに触れることのできる範囲」となった。つまり手なり足なりを延ばしてクイックドローに触れる範囲からなら、戻ってもクリップしてもOKと言うことである。
ただしこれと引き替えの形で、同一ポジションから複数のクイックドローにクリップできるケースについては、上のクイックドローに先にクリップしても大目に見ていた(要するにレジティメイト・ポジションからクリップしているからOKという理屈だと思う)ものが、認められなくなる。「順番にクリップ」ということが厳密に適用されると言うことだ。これはおそらくは新しいルールに従うと、先に上のクイックドローにクリップした場合に、容認出来る範囲が広くなってしまう可能性があるからではないだろうか。
ボルダー
- スーパーファイナルは、選手権大会(世界選手権、大陸別選手権)以外は廃止。
- 予選の競技順がテクニカルミーティングの日のWR順(上位が先)になる。
- 準決勝のローテーションタイムが6分から5分に短縮。
- リードと同様に、予選が2グループに分かれ、それぞれが別々のボルダーを登る場合は、予選へのカウントバックはおこなわない。
- 決勝で男女の両カテゴリーは同時進行。これは文言的には従来も同じ。さらに
加えて、一方のカテゴリーが先にある課題を終えたら、もう一方のカテゴリーが
終わるまで待って、両カテゴリーが同時に次の課題を開始。
(2010/04/18)