男子は安間佐千が、決勝をただ一人完登して優勝。女子は真達朋子が小林由佳、野口啓代を下して初優勝。
* ここ数年、春のコンペは“よこはまロックマスター”であり、昨年からは唯一のJFAリード大会として、日本選手権もこの大会に冠せられていた。それが今年度は、諸般の事情から開催できず、JFA日本選手権はラフマミレーの特別協賛で“ミレーカップ”として、川崎市に新装オープンするクライミングジムPUMP2を会場に、そのプレオープニングイベントをかねて開催された。
* 大会の数が少ないこともあってか参加者数は比較的多く、男子約50名、そして女子は久々に20名を越え26名での開催となった。女子の中には、メジャー大会には――と言うよりコンペそのものに久々の参加という懐かしい顔も見られた。その一方で、今大会の特徴としては、若い選手が大量に参加したことにあるだろう。先のユース選手権と今回の参加選手を見比べれば、いかに多くのユースが参加しているかが良く分かる。
* 数年前、茂垣敬太が高校生でジャパンツアーの男子の年間チャンピオンになった時から、これからの競技は茂垣や松島暁人ら若い世代の舞台となるという予兆はあった。そして彼らは、先の世代に追いつき追い越して行ったわけだが、その彼らが今は追われる追い越される立場に立ちつつある。彼らを追い上げる筆頭が男子優勝の安間佐千であることは言うまでもない。
* とは言え、まだまだ若手が上位を独占という状況ではなく、男女とも上位の多くは中堅、ベテラン勢が占めた。男子2、3位は茂垣と松島、そして4位以下には立木孝明、伊東秀和、渡辺数馬と続く。女子ではここ数年、小林由佳、そして野口啓代がその定位置としていた優勝の座を真達朋子が奪い取ったことは、特筆すべきだろう(小林は大学進学の直後で、調整が不十分だったようだが)。また木村理恵も、昨年のジャパンカップに続いて表彰台に立ち、健在ぶりをアピールした。
* それにしても、リードのメジャー大会が年間2戦というのは、やはり寂しい気がする。ジャパンツアーの終了宣言で北山真が述べたように、JFAは「量より質」と言うのは確かなのだが、量を担うべきローカル大会が参加者を満足させるレベルにあるかとなると疑問を感じないでもない。「量」と「質」の双方を満たす新たなシリーズ戦は、果たしてもうありえないのだろうか。(Judge)
(撮影:飯山健治、山本和幸 写真クリックで拡大画像)